2016/05/13 (Fri) 【第2話】春日局【私の思い通り】

初めましての方は初めまして。
ARUSEBU、もしくは椿と椛と言います。
2015年の11月から12月にかけて開催された私の思い通りイベント、春日局様ルートの第2話になります。ではお楽しみください。


春日局「さあ…、これを引かねばな」

その腕に抱えられている物を見て、私は目を疑った。

(……褥…!?)

立ち尽くす私を他所に、てきぱきとその場に褥の準備がされている。

(どういうこと……)

春日局様は満足げに褥に腰を下ろすと、ぐっと私の手首を引き寄せる。

『春日局さ…ま…っ……!!』

倒れかかった体を、抱きすくめられうようにして横になる。

(……っ……ー!!)

褥に横にされて、一気に心臓が音を立てた。

(もしかして……)

春日局様の唇が耳に触れた瞬間、ぽつりと気だるい声が注がれた。

春日局「………私は、眠い」
『え……?』

私をぎゅうっと抱きしめながら、春日局様は広い胸に私を押し付けた。

(………っ…)
春日局「少し肌寒いな、一緒に寝ろ」
『私も一緒にですか?』
春日局「ああ、……貴方が暖かいからちょうどいい」
(……こんな春日局様の姿、初めて見る)

耳をくすぐるその一言一言に動揺していると、春日局様が深くため息をついた。

春日局「それに……もたない」
(もたない……?)

かすれるような声でまた言葉が紡がれる。

春日局「…こまめに貴方を補充しないと身がもたないと言っている」
『…っ…人を燃料のように扱うのはやめてください…』
春日局「…本当に貴方は、意のままにならないな」

気が緩んでいるのか、いつもより甘い声が耳をくすぐる。

(この春日局様が、本当の春日局様なのかな……)

それはわからないけれど、これが全て書物のせいだとはどうしても思えない。私のすぐそばで横になった表情には疲れの色が見えて、私は数日前のことを思い出していた………

ーーーーーーーーーーーーーーー

それは深い夜が辺りを包む刻

『こんな遅くまで、お仕事をされているのですか?』
春日局「ああ、これがないと家臣たちが明日、困るだろう」

春日局様は手にした書状をまとめながら、私の顔を見てふっと笑みを溢し頬杖をついた。

春日局「そんなお預けをくらった子犬のような顔をするな」
『…っ……!』
春日局「あとで存分に可愛がってやる」

ーーーーーーーーーーーーーーー

(…私は、あの時、構って欲しかったわけじゃない。ただ……春日局様のお身体が心配だったんだ)

そっと神に手を伸ばすと、春日局様は記憶と同じような顔で笑った。

春日局「…なんだ、くすぐったい」

春日局様の髪は柔らかくて、心までくすぐられるようだ。

(だからこそ…私が手を煩わせたくはない)
『春日局様、もう今日は少し休んでください』
春日局「……何を言っている」
『なんだか、…春日局様をみていると、たまに苦しくなります』
春日局「病気でもしたのか」
『違いますよ』

春日局様の目元がふっと緩むのがわかる。

『こうしてたまには昼間に横になってみたり、たまには……、甘えてください』
(この言葉を伝えても、春日局様には届いてないかもしれないけれど)

視線を伏せると、耳飾りにすっと手が触れた。

春日局「私は、貴方には十分甘えているがな」
『え?』
春日局「上様の任を、任せているのだから」
(……っ)

その言葉に、義務というふた文字が頭をかすめて胸がくっと詰まる。

春日局「…そろそろ大名との謁見だったな」
(…どうして、すべての任務から解放されるって書いたのに)

視界の端で、書物を捉えると春日局様がぽつりと呟いた。

春日局「休みたいものだが…、貴方が行くのなら行かねばな」
(………っ…)

その言葉に、私は身体を起こすと衝動に任せて筆を走らせていた…

春日局「……なんだ…これは……」

筆を置くと、春日局様の瞼がゆっくりと降りて、しばらくすると穏やかな寝息が聞こえてきた。

(……今日だけ、だから)

"…春日局様は、謁見が終わるまで眠っている"

私はその場に書物を置いて、広間へと向かった…。

ーーーーーーーーーーーーーーー

…そして大名の方々との謁見は進み、

大名「…なるほど、上様のご意向はしかと受け取りました」
『ああ…、頼んだぞ。皆の者』
大名「はっ…」

つつがなく謁見が終わると、大名の方々は続々と広間を後にする。ふっと安堵の息をもらすと、見守ってくれた稲葉が声をかけてくれた。

稲葉「春日局様のお姿が見えませんが…」
(あ……その…)
『体調がすぐれないって、部屋でお休みになられてるよ』
稲葉「そうですか…しかし、たまにお休みになられるという意味では良かったかもしれませんね」

稲葉は不謹慎ですが、と付け加えて柔らかく笑い言葉を重ねた。

稲葉「椿様、お一人でご立派でした」
『……うん、ありがとう』

立ち去る稲葉の背中を見つめていると、背後から声が掛けられた。

榊「上様…少しお話をさせて頂いても宜しいでしょうか」

ーーーーーーーーーーーーーーー

(榊さん、どうしたんだろう……)
榊「…………」

広間で声をかけてきたのは、榊さんだった。空き和室に入ると、榊さんは表情を崩すことなく口にした。

榊「春日局様は、上様の手であの書物の術にかかっているのではないですか」
(……っ…)

私が息を呑むと、榊さんは視線を逸らしたまま言葉を重ねていく。

榊「申し訳ありません…。先ほどあの書物を預かった際に座学が早く終わればと書かれていたのを見てしまいました」
(……もしかして影武者だと…)

身を固くすると、榊さんの低い声が聞こえてくる。

榊「最近の上様は、…真剣に座学を学んでいらっしゃるようにお見受けしておりましたので」
(……榊さんは、鋭い)

その真摯な瞳につられるようにして、私は自然と胸の内を口にしていた。

『長年この地位にいる、それなのに春日局の手を煩わせてばかりだ』
榊「………」
『時に思う、…義務で私に教育を続けているのではないかと』

ーーーーーーーーーーーーーーー

家臣「春日局様はお忙しいのに、上様のご教育には余念がないな…」

ーーーーーーーーーーーーーーー

『だから、たまにはその責務から解放したかっただけだ』

榊さんはじっと逡巡するような表情を浮かべた後、はっきりとした声で告げた。

榊「上様は思い違いをなさっています」
(………思い違い…?)
榊「春日局様が望まれているのは、幕府の繁栄。それと…上様がここに留まられることです」
『私が…ここに?』
榊「はい、春日局様は上様のそばで支えていたいからこそ。教育をなさっているように……私には思えます」

榊さんの口から溢される言葉に、上手く言葉が継げないでいると榊さんはすっと立ち上がった。

(……?)
榊「……出過ぎたことを申しました。お許しを」

そのまま頭を下げて、榊さんは立ち去っていく。いつまでも心の中に留まる言葉を反芻して、

ーーーーーーーーーーーーーーー

私もその部屋を後にして春日局様の部屋へと向かった……。春日局様の部屋に足を踏み入れると…

春日局「……これはどういうことだ」
『……っ…春日局様』

"…春日局様は、謁見が終わるまで眠っている"

目を覚ました春日局様が書物に視線を向けて、複雑そうな表情を浮かべていた。私が立ち尽くしていると、春日局様は私の腕をぐっと引き寄せて囁いた…

春日局「心意を聞きたい。…貴方自身の口から」




榊に向き合う影武者の態度がかっこいいというか。
偽物だと気付かれてはいけないのに、少しの不安から言葉を紡いでいる時の影武者ちゃんの姿が好きです。弱音じゃないけど、グッときました。
あと書物を春日局様のお部屋に置いておくなんて、天然なのかな。でも、バレて迫られるそのシーン…どきどきしますぜ←
ではまた次の更新まで少々お待ちください。

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